脳外科医の篠原さんの本。題名は西郷隆盛*1の言葉だそうです。
印象に残ったこと
この本を患者に渡したところ、よくなった人が結構いた。
人間学とは端的に言えば、人間が平和に安心して行きていくために、自分の能力をどう生かしていけばよいかを示した学問。
脳の右半球は高齢になるほど弱まる。
自律神経系の異常を訴える患者たちの脳血流をNIRSで検査すると、座っているだけで右前頭葉の血流が落ちてしまっていることがわかる。血管反応に異常があるために脳に十分な酸素が行かないことを示している。脳に酸素が行かないと右半球の脳機能が低下する。
長期間ストレスを受けた人は平和な日常に戻っても倦怠感が消えずに活動力が落ちたまま。コルチゾールの朝の分泌が低下しているため。
ストレスで大量のコルチゾール(副腎皮質ホルモン)が分泌されると、海馬が萎縮し、認知症へと結びつく。
統合失調症はドーパミンの過剰分泌により起こるが、最近の研究では病気の初期の頃より左脳の側頭葉を中心に様々な神経線維の障害が見つかっている。
洞窟にずっといると幻聴や幻視が起こるように、外からの入力がなくなれば、正常な人でも見たものなどを記憶の場所にためるという神経がうまく働かなくなる。
神経症は別名不安障害と呼ばれる。神経症は性格的要因が強いと言われ、自己内省的、執着、感受性、欲望が強い性格が要因になる。
人間を困難から救うのは知識ではなく感動だったり、人を思う心。
人類が進歩するとは次に続く世代が前の世代よりも幸せに生きることができること。
うつなどの人は外に向いた右脳の機能が落ちることで、内に向いた左脳ばかりが強くなる。自分のことを見つめすぎて内省的になりすぎてしまうことがうつ病の最大の苦しみ。
公の精神で生きるということは、自分を犠牲にすることではない。自分のことを考えるのが辛いならば、あえて考えるのをやめて「他人のこと(公のこと)」に目を向けてみることが大きな転機のきっかけになる。
私にこだわると満足を知らないので常に不満を口にするようになる。ストレスによる不安から逃れるには私から離れるしか根本的な解決はない。気持ちを公に向けて、志を持って能動的に脳を使おうと意識することは不安感を相対的に軽減し、人間脳を働かせることにもつながる。アルコール依存や逃避、ひきこもりは人間脳が低下し、動物脳に引きずられてしまう結果。
セロトニンは周囲の状況や過去の恐ろしい記憶に左右されず、不安を抑えて元気な状態を維持する。
人間がストレスを感じると、視床下部からコルチゾールが分泌され、交感神経が刺激される。強すぎると自律神経のバランスが崩れる。また、強いストレスは扁桃核を刺激してノルアドレナリンを出して不安感を助長して、ストレスから逃げようとする。それを防ぐには失敗や挫折を取り返しのつかないものと考えず、一つの経験だと考え、それを肥やしに前以上に盛り返すと考えることが大切。
大脳辺縁系は自己保身のために強い敵からは逃げて、できるだけ弱い相手に向かう反応を示す。強い敵に会うと、脳の機能を落として内側にこもる。それを防ぐにはあえて周囲のことに過剰反応しないこと。自分が大事にしていること、達成したいことに集中して努力することが大切。
雑感
この本を書いた脳外科医も社会の中に溶け込んでいないと脳が暴走すると語っていた。
結局、自分ガーみたいな考えは脳に良くないと思った。
6.大学生の頃がまさにこれだったような気がする。大学受験失敗のストレスで勉強できなくなったし。
8.やはりひきこもりはよくないんだろうな。ひきこもっているから幻聴や幻視が起こるようになる。天に向かわないと駄目だな。
9.精神科医に好戦的で人と揉めるのは性格的要因と指摘された。
まさに自己内省的だし、執着心が強いし、傷つきやすいし、欲望も強い。
15.嫌な記憶関係なしにセロトニンはその効果を発揮するのか。カウンセラーが記憶を書き換えるとか言ってたけど、やはり眉唾ものだったな。
16.大学受験失敗の時にあまり重く捉えなければよかったな。そうすれば違った人生だっただろう。今も若干あの時の思想が残っているし。とにかく失敗が怖いね。
17.結婚してないとかお金がないとか思われたりするけど、あえて気にしないことだな。気にすると内にこもってしまう。
*1:「おいどんたちも安心でごわす」とおいどん、ごわすと言っていたそうだ。