- 作者: 篠浦伸禎
- 出版社/メーカー: 致知出版社
- 発売日: 2011/09/16
- メディア: ハードカバー
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印象に残ったこと
後ろの脳(頭頂葉、側頭葉、後頭葉)が情報を受動的に受け、前頭葉が情報を能動的に処理する。人を見て(視覚=後頭葉)、挨拶をする(実行=前頭葉)。
脳内ではストレスがかかると側頭葉の内側にある扁桃体という神経細胞からノルアドレナリンという神経伝達物質が分泌される。すると動物脳はそれに応じて攻撃・逃避行動をとる。逆に本能が満たされる(もしくは満たされることが予想される)と、動物脳にある神経細胞の塊である側坐核等からドーパミンという神経伝達物質が分泌され、動物脳は快感を得る。ノルアドレナリンやドーパミンをコントロールすると考えられてるのがセロトニン。セロトニンの分泌バランスが崩れるとPTSD等の精神疾患を発症することがわかっている。NIRSによる検査で、ストレスを受けると、右の前頭葉の血管の反応が異常になる。これはストレスによるノルアドレナリンの過分泌、セロトニンの分泌低下が脳の血管の反応を異常にするものと考えられる。動物脳が過剰に反応すると自律神経のバランスを崩す。
注意欠陥多動性障害という病気がある。注意力、集中力が低く、常に落ち着きがなくなる病気。この病気の人は知能は高いが、一方で部屋の片付けができないといった症状が見られる。原因は右脳の上縦束に障害があるという報告がされている。
最近頻発する凶悪事件の犯人に共通するのはおとなしい性格で孤独な傾向があること。子供の頃から居場所がなく、人間脳をあまり使わないできたタイプの人が多い。そのため社会適応が十分ではなく、挫折に対応する術を知らないためにちょっとしたストレスでも暴発してしまう。そういう人は左脳を使うタイプが多く、孤独の中で培ってきたプライドが挫折によって傷つき、合理的・論理的な左脳の機能を維持できなくなると、動物脳がむき出しになって一気に攻撃的になってしまう。覚醒下手術のときに暴れる患者の脳を見ると左脳の側頭葉に腫瘍がある。
生きていくための羅針盤ともいうべき人間学を知らないことが、現代人の様々な問題(うつ病、自殺、犯罪)の増加に結びついている。
人間脳が低下して、ノルアドレナリンが吹き荒れているような時は東洋哲学で言えば老荘思想、現代医学では認知療法が対処法。これらがめざしているのはストレスの元になっているこだわりを捨てることにある。
東洋哲学は秩序の中で進歩を目指すか(=論語)、それに背を向けて人生を味わうか(=老荘思想)という2つに分かれる。 右脳は若いうちにピークを迎えるが、左脳は年をとっても鍛え方によっては活動は衰えない。左脳を鍛える一番の方法が本を読むこと。
ストレスがある時はストレスに向き合い、ストレスを乗り越えるように努力することが大事。
ヴィクトール・フランクルは強制収容所に入れられていた。そのようなストレスのある状況で未来に希望を持ち続ける者のみが生き残れるのであって、そのために、全てに意味がある、価値があると考える。
雑感
この本でも人間学が大事だと書かれていた。しかし、自分は論語、菜根譚、老荘思想、ヴィクトール・フランクルをメンタルがやられてた(まさに動物脳状態)時に読んだけど全く心に響かなかった。人生に意味なんてないと思ってるし。
正直、人間学を学ぶなら本ではなく実際に人とコミュニケーションを取ったほうがいいと思う。
俺は古典とか歴史は好きじゃない(高校生の頃、成績はよかったけど)。絶対に美化されてるし、巷だと完全にこじつけだろと思えるような解釈をしてる本もあるし。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という格言が巷で言われてるが、これもデマらしい。ビスマルクは「愚者だけが自分の経験から学ぶと信じている。私はむしろ自分の誤りを避けるために他人の経験から学ぶのを好む。」と語ってるそうだ。
ストレスが力になるというスタンフォード大学教授の本も読んだけど微妙だった。
処世術で何かいい本はないかね?本当に逆境に立った人が書いた本を読んだ方がいいかもね。
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*1:正邪の混在した多くの考えの中から正しさを軸に見た時に優先順位が高いと思われる考え方。戦争を正当化させる正義もある。