記憶力が最強のビジネススキルである
印象に残ったこと
記憶はあなたの思考、感情、行動を司っている。
インターネットによって情報格差は狭まったように思われるかもしれないが、実は格差は広がりやすくなっている。何でも検索できる時代なので何を検索するかによって大きな差が開く。
意識的に異質の情報に触れることをしていない人は偏った情報ばかりに囲まれ、結果として世界を広げるどころか自らを狭くしてしまっている。
思い出そうとしなくても勝手に思い出され、しかも思い出したことを意識できない記憶のことを認知科学において潜在記憶という。
考えるというのはすでに持っている記憶をひっくり返しながら繋がりを作ったり、断ち切ったりして組み合わせをあれこれ変えること。
記憶の外部化はあなたを無力化する。「情報はインターネット検索に頼ればいい」「記憶は外に出せばいい」という発想は危険。記憶を蓄えたり、その質を高めたり、未知の世界に視野を拡げることが必要。
あなたが経験、知識を積み重ねるなかで培ってきた記憶がひとつの思考プログラム、判断プログラムとして作動し、「私はこう思う」「私はこうします」という思考、意思決定を生み出している。
記憶を変えるだけで、あなたが見える世界は変わり、同じ言葉を聞いても受け止め方が変わり、気持ち、感情も変化し、それによって行動も変わる。
言葉を読むという行為がその後の思考や行動に効果を与えることをプライミング効果という。言葉による刺激が記憶の特定の部分を活性化させ、それが人の認識や行動に影響を与える。
「何か新しいことにチャレンジしようとしても、ネガティブな思考が先行して躊躇してしまう」「先のことが不安で今をも楽しめない」「物事をつい悲観的に考えてしまう」「なんで人生がうまくいかないんだろう。ツイてない」という悩みもプライミング記憶をマネジメントすることで解決できる。
記憶をマネジメントすることで思考や感情をコントロールし、日々の行動に変革を起こしながら現実を変える。このプログラムが何をきっかけに動き出すのか、どのように動き、どんな影響を及ぼすか観察することでそのプログラムを一時停止したり、別のものに変えていくことが可能。
プログラムが走ると感情が生まれるのでそれに振り回されるとなかなか客観的に観察することができない。それでも自分自身を動かしている記憶(プログラム)を知る。それを自己観察して中断して変更していくのが究極的な解決策。
その事実に向き合うことができれば、脳は自然とパターンを変えるよう記憶を修正する。このように自分で自分の思考や感情の動き、行動パターンを見つめる力のことを認知科学ではメタ認知という。メタ認知の一部で自分が何を記憶しているのかを把握するのがメタ記憶。行動力のある人は大きな課題でも圧倒されず、課題をいくつかの要素に分けて、できるところから手をつけようとする。行動力のある、ないの違いは「課題を分ける」という行動習慣があるか否かの違い。行動できない人は行動しないという体験を積み重ねてきた記憶の集積があるかもしれないし、「どうせ自分にはできない」「何をやってもムダ」という口癖が出るくらい強烈な記憶が刷り込まれているかもしれない。
願いも1つの行動であり、あなたの記憶のプログラムに確実に影響を与える。
趣味や得意分野がすぐに記憶できるのは知らず知らずのうちに頭の中で思い出し、繰り返しているので自然と記憶に定着する。繰り返したり、思い出したりといった記憶を強める行動をとっているかどうかが記憶に差をもたらす。
人に話せば話すほど記憶は整理され、定着する。 体験から学び、それを次に活かそうとしながら振り返る。しかも振り返る頻度を上げ、振り返りと振り返りの期間を短くすることで成長を加速させることができる。
ワーキングメモリは一時的に新しい情報を保存する領域。ワーキングメモリに負荷をかけず仕事を進めるための最も簡単な方法はメモ帳やスケジュール帳を持ち歩き、情報を記録すること。
タスクリストを作っている人と作らずに仕事を進める人では集中力や仕事の効率に差が出る。
世の中にはワーキングメモリを増やすトレーニングがあるが、ワーキングメモリの容量を増やせる可能性は限りなく低い。
空間(場所)に記憶することでワーキングメモリの負荷を減らし、集中力を持続させ、仕事の効率・質を向上できる。
情報を理解することで記憶する情報の量を減らすことができる。これもワーキングメモリに負荷をかけない。とにかく理解する、とにかく記憶するという偏った取り組みは非効率。文章が理解できなければ、そこに書かれている文言を記憶(暗記)してみる。逆になかなか記憶できなければ理解できそうなところを探してみる。
専門用語などわからない言葉がたくさんあるとワーキングメモリがいっぱいになる。理解できない言葉や文章に出会ったときは無理に理解しようとせずにざっくり何度も読む。
理解力、思考力のある人は「要するに」「例えば」を活用して情報の圧縮と展開を繰り返し、物事の本質、原理原則を意識している。新しいものを理解しようとするときは「これは○でいうとなんだろう?」「×との違いはなんだろう?」「■との共通点はなんだろう」と考えると知識や経験がどんどん結びついていくので記憶と理解が定着する。
知っているとできるは違う。そのためにはとにかくたくさん実践すること。ただ、やみくもに実践しては駄目。自分の行動がうまくいったか振り返る必要がある。
ロジカルシンキング、クリティカルシンキング、フェルミ推定などのプロセッシングスキルばかりを訓練しているビジネスを題材にしたパズルを解くのに興味があるという手合いが多い。こういった能力を鍛えたからといってその人らしい成果をビジネスで生み出すことはできない。ロジカルシンキングを訓練すること自体が目的になってる。いくらロジカルシンキングが使えてもリアルな現場で使わなければ宝の持ち腐れになる。
体が固くなって緊張すると感情も動かなくなる。胸を開くとリラックスした状態を作り出せる。
広告を制作している人、独裁者はとにかくシンプルなメッセージやプロパガンダを大衆に繰り返し発信する。人は記憶に強く残ったこと、馴染みのあることを真実だと信じやすいから。
相手の記憶に残すには情報を減らし整理して伝える。「~のポイントは3つあります」理想は3つ。人が記憶できるのは4±1個。
相手にスキル・ノウハウを使えるようにしてもらうには伝える側が実際にやってみせる。そして相手に実際にやってもらう。
「やってみせ、いって聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば、人は動かじ。 話し合い、耳を傾け承認し、任せてやらねば、人は育たず。 やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」 by山本五十六
雑感
森田療法の話で感覚→感情→思考→行動という概念を知っていたが、記憶が感情、思考、行動を司っているという考えは新鮮だった。
自分のメンタルが不調なのは嫌な記憶があってそれが消化されていないから。
そのためにカウンセリングを2年近くやっているのにまるで効果がないという・・・。
記憶を変えるためには自分の記憶が走るとどのような感情、思考、行動になるのか観察していくことらしい。
これはまさにマインドフルネスと同じだよね。
それによって脳が自動的に修正されるらしい。
しかし、2016年から瞑想をやっているのに特に変化はない。去年はネガティブな感情が強まったし。
この本によると記憶を変えると見える世界が変わって言葉の受け取り方が変わり、感情、行動も変わるそうなので記憶に焦点を当ててカウンセリングを受けようと思う。
本を読んだり、勉強をしたりする時に理解は大切だが、わからなくてもどんどん読みすすめていく必要があると思った。
中学生まで成績はよかったが、無意識にわからないところを飛ばして繰り返し勉強していた。
しかし、応用問題が解けなかったりしたので自分は頭が悪いのでは?と思うようになった。
それで高校生くらいからいろいろな問題集に手を出すようになった。
それが悲劇の始まりだったな。
以下は箇条書きに対応。
2.ほとんどの人が検索トップに出てきたまとめサイトをソースにしている。ネットの情報は基本的にゴミなので見る価値なし。ただ、このブログにたどり着いた人はたぶん情強だと思うw
16.脳トレで有名になった東北大学の川島教授によるとワーキングメモリは鍛えれるらしい。ただ、この人の説は国内外から批判があるよね。
簡単な計算や音読をすると認知症患者の病気が改善されたという調査も被験者が16人位とかなり少なかったし。
20.showroom社長の前田と東大医学部在中に司法試験に合格した河野くんは著書で抽象化が大事と語っている。
22.コンサルは現場では使えないとか口だけと言われる所以がこれ。
おそらく勉強はできるのだろうが、口だけのアドバイスで現場が改善されるわけがない。
この本でも外資系コンサルのロジカルシンキングから離れたほうがいいとコンサル批判が書かれていた。
26.自分は誰かに何かを教える時に相手に実際にやってもらいながら教えるが、最初に自分でやってみせた方がいいのか。これからそうしよう。