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【書評】ワークマン式「しない経営」

目次

印象に残ったこと

  • まず売価を決める。粗利益率は35%を標準としている。売価を先に決め、そこから粗利益を引き、調達価格を決める。原価に余裕がある時は機能を増やす。

  • 作業服は廃り流行りがないので売れ残ったものを翌年に定価で販売できるので値引き販売をしない。

  • ワークマンの定価販売率は98%以上。残りの2%は値引き対象となる販売終了する3LやSなどの端サイズ、ど派手なプライベート商品

  • 中国は世界一のEC大国なのでムダの多い日本企業がリアル店舗が勝ち残るのは至難の業。

  • 誰がどのような価値に対してお金を払ってくれたのか確認することが大事

  • 自社の強みなどをコンサルに分析してもらうケースもあるが、社員が気づいていることが多い。

  • 自社の強みを見つける場合、「競争力の3つの根源」。製品力(差別化された製品)、顧客関係力(固定客の囲い込み)、運営力(現場の改善力、低コスト運営)

  • 社員にノルマや期限を設定せず、プレッシャーをかけない。プレッシャーをかけてできる強みは数10年市場で耐えられる本物の強みではない。

  • データ分析をして需要予測の制度を高め、在庫リスクをコントロールする。作業服は流行があまりないので、需要予測が当たりやすくリスクが低い。

  • 異常な売れ方をする製品が出た。
    バイクユーザーが防水防寒スーツ、一般女性が厨房向けの滑りにくい靴、登山愛好家が羊毛靴下、ガーデニング愛好者が花屋向けのエプロン、タウンユースで介護士向けシューズが売れた。
    このような異常値を検知して調査するのはブルーオーシャン市場拡大の原点になる。

  • ワークマン製品を紹介するアンバサダーになってもらったYouTuberなどにはお金を一切払っていない。

  • 無理な期限を設定すると、締切を守ることが目的化し、仕事の質が下がる。

  • 働き方改革と言ってもスローガンだけの会社が多い。経理部に決算期も残業しないようにがんばれというのは経営ではない。

  • 派遣のシステムエンジニアを追加で依頼することがあるが、派遣SEは単価が2倍するし、突然チームに加わっても戦力にならないので仕事の質が下がる。

  • ワークマンは短期目標はない。短期目標をいくつも掲げる会社はダメになる。
    過度なプレッシャーをかけても社員は絶対に伸びない。
    三井物産時代、多すぎる目標、過大なノルマが当たり前だった。仕事を多数抱えるとミスが増え、結果は悪くなる。
    目の前の数字を上げるために、短期間で結果を出そうとするので仕事がこぢんまりとしてしまう。
    前年比150%アップといったありえない目標を与えられると社員はしらけてしまい、バカバカしくなる。
    できない環境が当たり前になり、できない環境に順応してしまう。
    非現実的な目標がなければ普通にできていた仕事を早めに諦めるようになる。
    頭のいい人はそれが先読みできるので途中で諦めるケースが多い。

  • 経営者や幹部のつくる無駄な仕事が、社員が本当にやるべき仕事を妨げている。

  • 大手商社の本部は膨大な稟議書、資料作成、10以上の部署への根回し、社内接待など無駄な仕事がたくさんあった。

  • 生産性が上がらないのは付加価値を産まない時間をつくる人がいるから。

  • ワークマンの粗利益は35%売上経常利益率は17%程度

  • ワークマンは加盟店が95.2%。ユニクロは9割超が直営

  • 大手コンビニのようにフランチャイズの場合、本部から細かい指示があって仕事量が多い。加盟店オーナーは労多く益なし。

  • いい製品を作れば、顧客管理をしなくても売れる。反対に社会の役に立たない製品をマーケティングで売るのは反則

  • 自動車の場合、部品供給業者は自動車メーカーの工場近くに倉庫を建て、そこに部品を保管する。
    自動車メーカーのラインに届いた時点で所有権が移転され、それまでは部品業者のもの。
    欠品すれば機会損失となり、販売できなかった分の利益を補償しないといけない。

  • ウォルマートは売る瞬間までベンダー持ち。ペナルティを恐れて在庫を3,4倍持つベンダーもある。これが価格に添加されることもある。

  • DELLは東芝のハードディスクを仕入れていた。アメリカテキサス州オースティン工場の隣に東芝が巨大な倉庫を作り、大量の在庫を抱えていた。
    DELLにとっては都合がいいが、東芝にとっては苦しい。

  • 夏場におでんが急激に売れてしまい、具材が提供できなかったために数億円の機会損失補償を払った会社がある。

  • 本部の注文に迅速に対応するために、業者は在庫を抱えなければならない。食品などは大量廃棄しないといけないこともある。
    サプライチェーンは中心にいる会社は都合がいいが、原料、部材を供給する会社にはつらい構造。

  • ワークマンがベンダーに需要予測データを渡し、ベンダーが納品量を決め、ワークマンが全量買取する。

ワークマン善のサプライチェーン

  • データ分析でわかるのは相関関係因果関係を証明するには実験が必要。

  • 多くの会社は相関関係と因果関係を混同している。AとBは関係しているというのが相関関係、AだからBというのが因果関係。

  • スーパーで紙おむつを買った人は一緒に缶ビールを買う傾向があるというバスケット分析があるが、これは相関関係。
    相関関係から因果関係を導くにはおむつ売り場にビールを置く、ビール売り場におむつを置くという実験が必要だが、まともな担当者ならばそんな実験やめてくれと言う。

  • 多くの会社は外部からデータサイエンティストや、数学や理論物理の研究者や専門家を迎え入れるが、それは最悪の一手で確実に組織をだめにする。専門家は研究に興味はあっても企業の実務には興味がない。

  • ワークマンでは売れ筋なのに仕入れていない製品が売上ごとに上位に並ぶツールがあるが、VBAは使わず関数とピボットテーブルで作っている。

  • ワークマンは以前、仕入れ金額、販売金額、期末と期初の在庫金額を確定すれば、売価還元法で決算はできるので在庫数量データはムダと考えていたが、小売業者が在庫数を把握しないのはありえない。店舗の販売と在庫数字は小売業の命。

  • 他社との競争が激しすぎると、競争が目的化して競争相手をベンチマークするようになる。その結果、別の環境で生存できる力を失う。

  • 弱いつながりが革新を引き起こすという弱いつながりの強さ理論。弱いつながりをたくさん持っている人は普通は手に入らない情報を沢山入手できる。つながりが強いネットワークにいると同じ情報をいろいろな人から得るため無駄が多い。

雑感

ワークマンプライベートブランド
ワークマンのプライベートブランド。
FieldCoreがアウトドアウェア、
Find-outがスポーツウェア。

ワークマンのプライベートブランドには意味があったので参考になりましたが、たぶん今後利用することはないと思いますw

ワークマンは低価格の割に質がいいと言われますが、値段相応です。

自分は肉体労働をしているのでワークマン製品(肌着、靴)を買いましたが、質がいいと思えませんでした。

結局、asicsユニクロを使用してます。(アシックス最高!)

サプライチェーンに供給する業者が異常に在庫を持つ理由がわかりました。やはり立場が弱いんだなと感じました。

スーパーで紙おむつを買った人は一緒に缶ビールを買う傾向があるみたいな分析をするマニアがいますが、実務だと役に立ちませんね。

現実は複雑系で成り立っていて、単純系の理論で成り立っていません。

こういう分析マニアも無駄で付加価値のない仕事を作っていると思う。

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ワークマンの昔のCM。