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【書評】はじめての森田療法

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印象に残ったこと

  1. 森田療法の原理は「あるがままに生きる」。あるがままに自分を受け入れる、あるがままに自分を表現する。 あるがままに到達するには「理想の自己を削ること=認識の転換、受容の促進」、「現実の自己をふくらますこと=行動の変容」の2つ。

  2. 森田療法は患者の訴える症状を直接取り上げず、日々の生活に入り込むことを指導するで問題の解決を図る。

  3. 悩んでいた症状は放っておいて、どうにでもなれと開き直り、目の前の作業に入り込むことで症状が劇的に改善する。

  4. できないことをありのままに受け入れて、できることに注目して、それに取り組み、没頭することが問題解決の鍵となる。

  5. 夏暑くて、冬寒いのは自然。暑さ、寒さを感じないようにしたいというのは人為的で、そのあるがままに服従し、これに耐えるのが自然。

  6. 森田正馬パニック障害などのとらわれがあった。腹式呼吸や内観法などを試したが、悩みは解決しなかった。しかし、この試みは後に森田療法の理論を作った。浄土真宗の考え方は治療の武器になった。

  7. 森田は神経衰弱者の治療に薬物療法や催眠術を試みたが、思ったほど効果が得られなかった。

  8. フロイトが提唱した精神分析理論では、人間には無意識の過程が存在し、それが人間の行動に大きな影響を与えると考える。その無意識には幼児期の記憶(トラウマ)が抑圧された形で存在し、それが形を変えて症状、悩みを作るとした。その封印した記憶を意識化することが治療となる。
    森田はそれは机上の空論とした。いかに高級な理論を掲げても空理空論でしかないという自負があった。重要なことは過去に悩みの原因を求めず、現在の悩みの現象をありのままに見て、そこから悪循環などの心の作用を見出すことと考えた。

  9. あれこれと理屈にあてはめたり、理屈で悩みを取り除こうとすることを森田は思想の矛盾と呼んだ。

  10. 人間の悩みのすべてが脳科学から解明され、解決されると考えることは新しい神話にしかすぎない。

  11. うつ病の患者には家事を勧める。仕事に復帰する時も人にどう思われるかより目の前の仕事、作業に取り組み、臨機応変に工夫することを助言する。

  12. 悩んでいる人に「気分と行動を分けて、考えて行動しよう」と勧めている。気分に囚われたり、気分が暗いままでよいので、今ここでできることを考えてみようと助言する。

  13. 強迫性障害の患者は薬物療法SSRI/抗うつ剤)や認知行動療法、カウンセリングを受けたが、一時的な改善で後戻りすることを繰り返した。

  14. 自分の不安、恐怖、イヤだという感情、落ち込みなどを何とかしようとあれこれ行動することを「はからい」と呼び、はからえばはからうほど、苦悩、不安を強めて、囚われの状態に陥ってしまう。「一波を以て一波を消さんと法主、千波万波交々起こる」

  15. 好きな異性と出会った時に「話しかけて大丈夫だろうか」「変に思われないだろうか」「拒絶されたらどうしよう」という思いにとらわれてしまうと、相手とうまくコミュニケーションを取りたいと願い、緊張と戦うことになる。この人が好きだという素直な欲望が変に思われないための工夫にいってしまう。そうなると相手にはそっけない、近づきにくい人と思われるかもしれない。

  16. あれこれ考えて考え方を変えるのではなく、行動を通して直接生活世界に踏み出し、経験する。
    理屈でわかるよりも体験ができさえすれば治り、治りさえすれば、理論は容易にわかるようになるから体験を先にする方が得策
    ぐるぐる回る思考を考えないようにすること自体、その考えに絡め取られてしまう。迷ったら頭でシミュレーションせず踏み出す、できることから手の出しやすいことから始める。こうあるべきだという考えに基づいた行動的経験はいくら積んでもその人の成長にはつながらない。

  17. 面接や日記では自分の生活の場面でできたこと、目的を果たせたことをきちんと評価する。

雑感

7.自分は催眠療法*1をやりましたが、全く効果がなかったですね。

8.これまで受けたカウンセリングもやたら乳幼児期の記憶に持っていこうとする。

そしてその当時の記憶の書き換えができれば脳の神経回路が変わるという主張をする。
あとフロイトはものすごく性に執着している印象がある。

13.自分もパキシルで楽になることはなかったし、カウンセリングで対人恐怖が和らぐことはなかった。

今後はとにかく行動ですね。恐れや緊張があってもやりたいことをやる。

*1:催眠療法師をかたるペテン師もいるし。