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【書評】実践・森田療法

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印象に残ったこと

  1. 現代の悩める人たちはしばしば自己愛的。頭でっかちで自己中心的、他人に対して共感できにくい人たちが増えている。そのような自己愛的な人は自分の感情、身体、周囲の人間関係を自分の思うようにコントロールしようと試みる。

  2. 過去の原因を探求し、過去の出来事を知ったり、つらい過去の経験を打ち消すように試みたりしても、その人は癒やされるか? 森田療法は悩みとどうやって付き合っていくか?それをどのように受け止め、むしろ生かしていくのか?というような問いに答えようとするもの。

  3. 自然(身体、感覚など元来備わっているもの、欲望や恐怖、精神活動、自己治癒力)と思考(自然を自分の思うがままに支配しようとする自己愛的なあり方や自分に執着する態度)との対立を思想の矛盾と呼ぶ。

  4. 心と体の現象は自然の法則に従い、自然と調和して働いている。感覚、気分、反応、忘れること、思いつくことはすべて自然の法則。老子も人が生存し、発展するには、必ず自然に順応し、自然に習わなければならないと述べている。

  5. 森田療法は体験重視の治療法。つらいので避けていた場面、苦しいので取り除きたいと望んでいた不安や恐怖と向かい合う。これは行動の修正を試みるものではなく、不安や恐怖の除去、軽減を目指すためではない。不安を避ける試みは自分自身を弱め、惨めに感じさせ、傷つける。

  6. 人は悩むものとわかったら悩みと共に生きることを考える。悩んでいる人は、この悩みさえなければ、このことが気にならなければ、こんな気分にさえならなかったらと考えるが、不快な感情、悩みを取り除くために知恵を絞ると、結果として自分で深刻させてしまう。自分の注意を外に向けること、生活を見直すこと、身近で手を出せることから始めてみると、何らかの心の変化を感じ取れる。このような試みが悩みを持ちながら生きること。そこではじめて不安や恐怖を取り除くために使っていたエネルギーを健康に生きるために使えるようになる。

  7. 不安になることに不安になり、恐怖に陥ることに恐怖するようになったら、そのことだけに注意が向いてしまう。不安にならないことがその人の人生の価値になってしまい、森田はこのような態度を気分本位と呼んだ。気分本位の人は気分ばかりに注意をはらい、外に注意が向かず、現実の生活が疎かになる。

  8. 恐怖を避ければ避けるほど、恐怖は募る。むしろ恐怖に突入し、恐怖に入れば恐怖は薄れていく。

  9. 「外相ととのって内相が自ずから熟す」。生活での実践、行動を整えてゆけば、自然と不安、悩みは変化し、流れるようになる。

  10. 囚われている人たちには今までと違った行動、行為を提案する。原則的には「まずは症状を持ちながら、それに持ちこたえながら、現実の必要な行為を行うこと」「その行為を通して何が得られるか、体験すること」を勧める。

  11. 行動することは、自分の健康な欲望を発揮し、自分として生きること、自分の欲望を実現すること。これを森田療法では「あるがまま」と呼ぶ。

  12. 激しく悩む人の感情は長く続く。なかなか自分の感情が変化せず、不快な感情は持続し、その分だけ苦悩が強い。このような特徴を持った感情をかみくだき、ゆっくりと飲み込んで行くことが苦手。

  13. 感情は自然な反応なので原因を探求することはあまり意味がない。

  14. 原因を探求する科学的な態度から離れてこそ、逆に生き生きと悩む人の心のあり方を理解できる。ある障害に単一の原因を求める原因探求主義は破綻している。心理的原因か身体的原因か、あるいは環境か遺伝かという問いかけはもはや無意味

  15. 抑うつ神経症の人は自分はダメ人間であると決めつけて、長期間落ち込む。うつ状態は軽いが、それがだらだらと長期に続くのが特徴。そして劣等感にさいなまれ、そのマイナス思考が落ち込みを引き起こす。

  16. 多くの引きこもりが日記療法では大胆に饒舌に自分の感じていること、考えていることを表現する。それとは対照的に直接の面接ではほとんど何も語ろうとしない。彼らは自分を抑制し、緊張しているように見えるが、その内面に自己中心的で自己愛的な自己像を持っている。その自己像は世界の中心に自分があり、常に人から賞賛され、注目を浴びることを望んでいる。反面、そのような人は現実の他人からの言動に敏感で傷つきやすい傾向がある。

  17. 頻尿など不安や心身の反応を起こしやすく、それにとらわれてしまいやすい神経質な性格傾向を森田はヒポコンドリー性基調と呼んだ。

  18. 自分の悩みを取り除こうとし、そのための努力をおしまないことが不幸にも自分の悩みを強めてしまう。

  19. 強迫性を示す代表的な性格特徴として、
    ①完全にしないと気がすまない
    ②負けず嫌い
    ③プライドが高い。
    ④心身ともに健康でいたい
    ⑤自分や周囲を思い通りにしたいという欲求が強い。
    があげられる。

  20. 中学の成績が優秀で有数の進学校に入学したBさんは中学まで注目の的であったが、ここでは平均的な生徒にすぎない。傷つきやすいプライドは同年代との競争的でかつ協調を要する関係についていけなくなった。その反面、いつも彼は密かにいつかは見返してやる、自分の方が優秀だと周囲に注目を浴びている場面を繰り返し、夢見ていた。次第に緊張を覚える対象が家族以外のすべての人に広がり、相手に不快な感じを与えている、そのために避けられていると悩むようになり、不登校、ひきこもりになった。そのため将来の夢もあきらめた。そして親を恨み、環境を呪い、自分を責め、過去を悔やみ、将来に強い不安と絶望を感じている。
    この彼は負けず嫌いでなく、プライドが高くなかったら傷つくこともなかった。また、人前で緊張することを受け止められたら努力したかもしれない。彼はそのような自分がを弱い、みじめな自分と決めつけて、自然で人間的な感情をおこすまいとした。つまり不可能を可能にしようとした。感情を否定し、取り除こうとすれば、逆にその感情は強くなる。また、感情が起こることに不安、恐怖が募る。

  21. 挫折とそれにともなう感情を受け入れる作業の失敗が神経症などの様々な心身の障害を作る。

  22. 不安、恐怖に囚われている人の背後に必ず欲望(生の欲望)が隠れている。不安・恐怖に注意を奪われないで、その背後の欲望を発見し、発揮していくことが大切。

  23. 対人恐怖の人は恐れのためにしなければならない挨拶もしないで、人を避けて他の人から怪訝に思われているのに、急接近するなど相手の感情を理解できない。対人恐怖の人は自己本位的な悩みのために、しばしば恥知らずとなる。

雑感

19は自分にまさにあてはまる。主治医にも強迫性が強いと言われている。

20の例は俺とほぼ同じ。自分の場合は大学受験に失敗し、夢も希望もなくなって大学入学後から対人恐怖がひどくなった。

21のように切り替えていれば、対人恐怖もなかったかもしれない・・・。

14.つい最近まで通っていたカウンセリングは問題を心理学的原因、身体的原因、社会的原因に分けて、カウンセリングでできることは心理学的原因のみと逃げていた。

カウンセリングに違和感を感じていたので精神科医に話したら、患者に焦点を当てないで、患者が楽にならないカウンセリングは止めた方がいいと言っていた。

杓子定規に当てはめようとするカウンセリングは止めた方がいい。

今、精神科では森田療法の読書会になっているが、ここに行っても正直何も変わらないと思う。

本当はここに書かれている日記療法が有効のような気がするんだけど、近場にそれをやっている精神科がないという・・・。

自分で生活、行動を変えていかないと。

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