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【書評】愛着障害の克服

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【書評】愛着障害の克服

印象に残ったこと

  1. 愛着とは関係のないように見える不登校、ゲーム依存、ひきこもり、不安障害、強迫性障害統合失調症などのケースでも安全基地を強化し、愛着を安定させることによって、多くの問題が改善に向かう。

  2. 医学モデルは「病気→症状→診断→治療→症状改善」、一方、愛着モデルは「愛着へのダメージ→不安定な愛着→ストレス耐性・適応力低下→症状出現→愛着関係への注目→愛着安定化→ストレス耐性・適応力の改善→より高いレベルの適応」。愛着モデルにおけるゴールは症状の改善ではなく、より高いレベルの適応、「その人本来の生き方を獲得すること」にあり、それに伴って症状が自然に消退する。

  3. フランスのエミール・クーエが始めた暗示療法はきっと良くなると患者を励まし、前向きで肯定的な発言や考え方を指導し、患部をなでながら患者と一緒になおると唱えさせた。これは愛着アプローチの先駆け。

  4. 愛着が安定型の人はメタ認知(自分を客観的に振り返る力)がよく発達している。こういう人は辛い体験をしてもその辛さだけにとらわれず視点を変えて事態を見ることができる。

  5. プレーリーハタネズミは一度セックスするとつがいになり、生涯添い遂げることで知られている。このネズミにオキシトシンを阻害する薬物を注射すると、セックスしてもつがいにならず、他の相手を求めようとした。その後の研究で霊長類の種でも浮気をして新しい恋に夢中になりやすかった。セックスの時にオキシトシンが活発に分泌されるのだが、脳がオキシトシンを浴びている時に一緒にいた人に特別な愛着を覚えるようになる。

  6. オキシトシンは社会性を高め、ストレスや不安を抑える働きもある。

  7. 愛着を扱う技術は飛行機を操縦する技術のようなもの。細かすぎるマニュアルは実践には役立たない。胃カメラや大腸ファイバーを初心者の医師に教える場合、闇雲にやらせると危険なので指導医は幅広く適用でき、かつ危険を避けるために実際に役立つ経験則を授ける必要がある。例えば、「抵抗を感じたら、無理矢理入れるな。いったん戻せ」といった簡易な言葉で表現された単純な原則の方が実践では役立つ。

  8. 医学モデルで事態を見てしまうと、どうしても症状に目がいく。症状を問題視し、そこに注意を向けてしまいがちになる。不安定な愛着の人は本人の良い点よりも問題点ばかりに目を向け、そこばかりを責めてしまう。症状は病気によるものだと説明してくれる医学モデルは明確な答えを出すので、仕方がないとあきらめもつく。しかし、症状に囚われすぎることは問題の本質をわかりにくくする。

  9. いくつかの診断名がついてしまうケースでは愛着の問題が関わっていることが多い。医学モデルでは診断に基づき、症状改善のために治療を始めるが、たいてい事態は泥沼化し、行き詰まる。それを避けるためには症状に目を奪われず、問題の本体に働きかけていく事が大事。症状にターゲットを絞った瞬間、本当の回復から遠ざかる。症状は問題の本体というよりも、そこから二次三次的に生じた連鎖の最終段階に過ぎない。

  10. 安全基地がうまく機能していないと、不安定な愛着を生み、その後の危機になる。

  11. 強迫性障害のうち強迫観念のケースは薬物療法や行動療法も効果が出にくく治療が難しい。著者は患者が症状を訴え続けるのを聞くだけであったが、症状や苦しさをありのままに言える場になっていたので意味があったと感じている。

  12. 愛着の安定化=安全基地の機能を高めることはたいていの問題の改善に有効。

  13. 子供の頃から安全基地を持たずに育ち、絶えず安全感を脅かされると恐れ・回避の愛着を身に着けてしまう。このような人は自分なんか受け入れてもらえないという恐れから自分をさらけ出すことができない。しばしばひきこもり、外界との接触を断つことで何とか自分の安全を守ろうとする。

  14. カウンセリングの基本。なるほど、そうでしたかと大きなうなずきと共に共感しながら聞いていますよという姿勢。相手の言葉をそのままオウム返ししたり、なぞったりする。~ということですねと要約する。曖昧な疑問詞を使った質問をする。死にたいという人に「死ぬな」と本人の発言を否定するのではなく、「どうしたの?どうしてそう思うの?」と聞く。

  15. 不安型愛着の人は自分が受け入れられているかどうか、相手に認めてもらえるかどうかに過敏である。少しでも相手の反応がおかしかったり、いつもと違っていたりすると、それだけで気をもむ。少しでも相手の評価が下がったような気配を感じると、落ち込んでしまうか、逆に怒りモードになって攻撃的な反応をする。

  16. 不安型愛着の人は自分を認めてもらいたいという欲求が非常に強い。少しでも自分のことを否定されたとか拒否されたと感じると、気分を害し、相手に対して批判的になる。不安型の人は愚痴や不満が多い。不安型の人は共感されることで救われる。

  17. 認知が変わることで愛着が安定化するのはごくまれ。愛着の安定が十分でない段階で、認知を修正しようとすると逆効果になる。通常の認知療法がうまくいくのは愛着が比較的安定した人。

  18. 愛着の傷となっている体験にさかのぼって、現在の行動を理解した時に、人は心を強く動かされ、認知や行動の修正も起きやすい。

  19. 愛着が不安定な人では自分にも他者にもこの世界にも人生にも否定的な評価を下してしまうので、幸福度が下がってしまう。同じような境遇を生きていても面白くない人生になってしまい損。これを変えていくためには物事をありのままに受け止める事が大事になる。悪いところを非難したり不満に思うよりも良いところに目を向け、そこに満足や喜びを見出だせるとずっと生きやすくなる。ありのままに受け止める実践訓練として注目されているのがマインドフルネス

  20. マインドフルネス瞑想は振り返る力を高める効果がある。また、物事をありのままに受け入れ、それをどうにかしようとしない態度を身につけることができる。

  21. マインドフルネスでは良い悪いの価値判断をせず、ありのままに受け入れてそれを感じることを目指す。症状があってもそれを治さねばならないとみなさず、そのまま受け入れる。症状を治すことにとらわれないことで症状から自由になる。実践してマインドフルネスが身につくと、うまくいかないことがあっても、それが悪いことにはならず、これも人生の味わいの一つと大切に感じられるようになる。こうした境地にたどり着くためには生きる原点である呼吸や体の感覚に注意を向け、それをありのままに感じることから始める。不快な体験や不安な感覚もありのままに受け止め、味わうことで、乱されない心と気づきを手に入れていく。

  22. 愛着が不安定な人に共通する特徴は許せないと思うと、そのことにとらわれ、全部を否定する。許せないと思う原因は一部分に過ぎない点をすべて悪いと全否定にすり替えてしまう思考パターンにある。うまくいかないことや嫌なことは誰か悪い人のせいだという思考パターンが出来上がっている。

  23. 嫌なこと、うまくいかないことがあっても、それは偶発的な出来事であり、それに感情的に反応するのをやめればうまくいかないことが起きてもそれが非難すべき悪いことだとか、誰かのせいだという発想をやめることができる。

  24. 安全基地になってくれるサポート役に出会えない場合、日記や文章を書く。

  25. ペットや動物の世話をすることは愛着の傷を癒やすチャンスになる。子供を持つことを考えられないと言っていた人が親になって世話をするうちに自身が安定するケースもある。

雑感

この本で愛着という概念を知った。

その後、手詰まりになったカウンセラーが愛着という言葉を持ち出してきたのでさらに知識を深めてみることにした。

8のように5年通っている精神科では対人恐怖は病気による症状と思った方がいいと言われている。

そして11のように、この精神科は現状報告の場になっている。

強迫観念は薬や行動療法も効果が出にくいというのはまちがいない。

パキシルを飲んでいたけど、一切強迫観念が和らいでいない。

9はまさにその通りな気がする。症状を治そうとしてそれがよくならないから余計に病むというスパイラルがあると思う。これは森田療法でいう精神交互作用という奴ですね。

過去に別の精神科に4軒ほど行ったが、すべて診断名が違っていた。おそらく医学的には合っているんだろうが、問題の本体を掴んでいないと思う。

自分は愛着が不安定だと思う。だから人付き合いが苦手で大学生あたりになって対人恐怖がひどくなってきた。

この本でもそれまで、そつなく生活してきた人が大学入学や就職してから症状が起きるケースが載っていた。

そのような人たちはみんな親との関係があまり良くない感じだった。

カウンセラーもこの論理を使おうと思ったんだろうけど、俺は親との関係は悪くない。

ただ、10のように両親が安全基地になっていなかった。

家庭が貧しかったので選択肢が常に限られていた。

他の家庭ではゲームを買ってもらうのが当たり前だったのに、ウチはそれがなかった。

大学も当たり前のように私立に行ける同級生がいるのに、自分は無理だった。

だから常に不安感があった。

マインドフルネスというか瞑想を2016年から始めているが、これといっていい効果はない。個人的に眉唾ものじゃないかと思っているが、続けている。

こういうところに定期的に通ってやるべきかな?

今後だが、病気を治そうという姿勢をなくすつもり。

カウンセリングなんてもう受けない

代わりにオキシトシン分泌を高めるために、マッサージに行こうと思っている。

この記事のようにドストエフスキーの「罪と罰」のラスコーリニコフ強迫神経症によって犯した殺人による良心の苦しみを淫売婦ソーニャの愛によって救われたそうだ。

フロイトによれば「人間の神経症は奪われた愛を取り戻すことで治癒する」そうです。

ということで性感マッサージも受けようと思っている。