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印象に残ったこと
予防医療には一次予防(病気にならないようにする→予防接種、食事、運動、禁煙など)、二次予防、三次予防があるが、一次予防がもっとも経費が安くて重要。
ダメな行政の3つの言い訳「前例がない」「条例がない」「予算がない」。逆に前例を作ったり、議会で予算を通すと粛々と物事が進む。
自治体病院が大黒字で、国保の財政が大赤字というのは最悪の医療。医療費の増大は国保税という形で住民の負担になる。自治体の病院が赤字でも必要な予防医療をやって、国保の財政が黒字になったほうがいい。
デンマークでは介護者養成学校の学生は入学した時点で国家公務員として扱われ、国から給料をもらいながら学校に通える。
検診を受ける集団が受けない集団より寿命が長いのは検診を受ける人達が早期に病気を発見できるからではなく、検診を受ける人達は元々、健康意識が高いから寿命が長い。これを統計学でセレクションバイアスという。
弱者は高齢者ではなく若者。若い世代が高齢者世代を支えるのが当然というロジックになってるが、本来は自分たちの蓄えでやっていくのが年金や社会保障。医療費が多くかかるのは高齢者、資産を多く持つのも高齢者、それなのになぜ貧乏な若い世代やこれから生まれてくる世代に負担を押し付けるのか。このようなひどい社会をつくったのは今の高齢者世代。団塊世代以上の高齢者達がその人数の多さと経済力に物を言わせて議員を選び、自分たちに都合のいい仕組みを作ってきた。
北海道の教育レベルは低いと言われてる。要因の1つが北教組の存在。
「皆の意見をよく聞いて・・・」などと言ってる謙虚な政治家は一生かかっても現状を変えることはできない。そのような政治家は自分が責任をとってでも決断しようという覚悟がない。
何もしないでいたら間違いなく致命的な損失が出るとわかっていても、行政の担当者はやるべき仕事から逃げようとします。人様の税金なので本気でお金を大事にしようという気もない。それよりも自らの責任を回避することが絶対優先。
組合対策という名目で様々な形で税金が無駄遣いされていく。労働組合は「組織を守らなければ、住民を守れない」という奇妙な論理を持ち出す。自分たちの高い給与や生活レベルを守りたいからと言ってくれたほうがよほど好感が持てる。権利だけ主張して、社会に対する責任を考えない組合運動など百害あって一利なし。
夕張市立総合病院の事務員は市役所から来ていたが、定年前のやる気のない人が回されてきた。退職金を病院会計から出させて市役所本体の赤字を減らすために派遣されていたというのが実情だった。
夕張市破綻後の4年間、夕張市の総務課長を務めていたのは、かつて市の労働組合のトップだった人物。法外な人件費を要求し続け、夕張市を破綻に追いやった張本人が自治体の改革を担う要職に居座り、市長よりも高い給与を手にしながら既得権益の確保に専心していた。
マスコミの一番大きな問題は自分の目で物を見ようとしたり、自分の頭で物を考えようとしたりしない人が多い。
メディアとは、何かが起こらないと報道しない。悪いことならば何であろうと取り上げるのに、事態がうまく進んでいるような場合だと、報道心を刺激されないのか、取り上げられることが少なくなる。自分の国や自分自身が興味をもつことしか報道しない。何もないときは予測記事を垂れ流す。それが大抵の場合、的をはずれている。予測記事が外れないように事件を作っていく。 マスコミは自らが持つ自作自演構造が社会をどんどん悪くしていることに気づくべき。
各人が横並びでリーダーシップを発揮するフラットな組織を作ろうと看護師や技師に権限を委譲したが、ピラミッド型の小さな組織がいっぱいできた。どんな小さなものでも権力を持つと勘違いしてしまうのが人間。ピラミッドのトップになった人は組織がどうあるべきかを議論したり、組織をいじったりするのが仕事だと勘違いして、目の前にある本当にやるべき仕事が目に入らなくなる。
夕張医療センターの給与体系を一新した。基本給を安くして資格給を厚くした。基本的に働き盛りの30~40代の人の給料が一番高くなり、50歳を過ぎると給料が下がり始めるようになった。一方で定年制も廃止した。
モンスターの言い分に従うということは、自己中心的な人たちが得をする世の中を作ることに手を貸しているようなもの。
ニーズとウォンツを峻別すべき。本当のニーズとは公共の福祉に資する要望であり、他の人達のことも考えた要望であって、決して個人的な欲求をかなえたり、不安を解消するものではない。住民アンケートでニーズを得ようとするのはナンセンス。最近、幼稚園などの教育機関が過剰なウォンツに応えようと躍起になって競争しているが、そんなことで教育の本当のニーズを満たせるのか疑問。そういう浅ましい大人たちの姿を見て育った子どもたちが、やがてモンスターと呼ばれる大人になっていく。
知らなかったが許されるのは未成年まで。いくら政治が悪くても政治家を選んだのは自分たち。いくら官僚がダメでも自分たちで物事を考えなくて良い理由にはならない。自らが考えて行動することが市民の義務。
厚生労働省が描いている高齢化社会への対応策は病気になったら急性期医療で対応し、急性期が過ぎたらリハビリ病院で対応し、退院したら住み慣れた地元の地域包括システムでケアしていくというもの。
雑感
正論のオンパレードで非常に痛快な内容の本。
3だが、市役所レベルだと法律や条例の範囲でしか動けないとのたまうよね。俺も前例を作ってやろうかなと思っている。
7は正論すぎるだろ。ピケティも若者を優遇しろと言ってるのに。
ただ、もうどうすることもできない気がする。日本は末期的です・・・。戦争などが起きて日本全土がやられない限り、この国はもう変わらないと思う。一部で天変地異が起きても絆で済ましちゃうから。
10はサンクコストですね。この記事でも触れてます。
公共事業は無駄でも工事につぎ込んだ費用が無駄になるので継続しがち。このまま支出を続けても無駄なことがわかっていながら自分の保身のために間違った行動をとることを塹壕効果という。
サンクコストにはこだわらないこと。
サンクコストを回収しようとすると逆に雪だるま式に損が増えていくことがよくある。
16だが、各人にできるだけ権限を与えて、仕事を任せる上下関係の薄いフラットな組織が理想だと俺も思っている。
だけど、権限を与えると勘違いするのが出てくるから柔軟性があってモラルが高く、公正な判断ができる人に権限を与えないとダメ。
偉そうに人をこき使うような奴や女の言いなりになるような男は管理者になってはいけない。
やるべき仕事をしないで組織をいじることに躍起になっているのはまさに日本の企業にあてはまることだろう。
17だが、年功序列はやめた方がいいと思う。定年間近だったら大した仕事もしてないだろうに。
19だが、若いから経済的に余裕がないというのもあるだろうけど,今の若い親はいろいろ教育機関に要求しすぎ。育休退園に反対したりと俺は違和感を感じてました。
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人事、そんなに面白い? カルビー会長兼CEO 松本晃 - 日本経済新聞
人は権限を委譲されると元気になる。故に人は成長する。従って、権限委譲は部下を育てるための最大のツールだ。
人事権をもたないと寂しい。だから、人はこれを死守する。人事は確かに面白い。
しかし、年中人事ばかりに精を出していると会社とか組織はダメになる。皆さん、それでも人事はメシより好きですか?
私は9年前に人事権を捨てた。気楽になった。
カルビー会長のインタビュー。