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印象に残ったこと
企業が借入返済に当てることができる原資は税引き後利益と会計上経費としているが実際に手元にキャッシュとして残っている減価償却費。
→減価償却費+税引き後利益で返せる範囲のお金でしか設備投資はしてはいけない。機械や設備は中古で間に合うならそれで我慢せよ。
設備導入により固定費を大きく押し上げて経営体質を弱くすることがある。
前向きに積極的に経営を勧めているつもりが経営を脆弱なものにしてしまうケースがある。資産とみなされるとその分所得を増やして税金が取られる→次の注文がいつ来るというあてもない場合、いつまでも部品を抱えるのではなく、できるだけ在庫評価せずに帳簿から落とす。
長期間全く売れていない品物が売れる見込みもないのに何度も棚卸されているケースが出てくる。
すなわち,すでに価値のないモノが財産として置いてあり資産となっている。→利益が見かけ上増えて、不必要な税金を払っているという場合が出てくる。
棚卸は人任せにせず、経営者が自分の手で触れて行うべき。筋肉質の経営をするために重要なことは変動費(売上とともに変化する費用)を下げるだけでなく、固定費を一定もしくはできるだけ下げて利益率を高める=損益分岐点を下げていき、結果として利益を増やしていく。
私の会計学には投機的利益を狙うという発想は微塵もない。
余剰資金の運用は元本保証の運用が大原則であり、投機的な資金運用のためのリスク管理などは全く含まれない。経費は計画通り進んでいくが、売上が計画通りに増えないことから予算制度を実施してこなかった。
それゆえに私は「予算制度は要らない。要るお金はその都度、稟議を出せ、その都度決済する」という方法で経営してきた。
京セラでは毎月必要なものは毎月必要な分だけ、場合によっては毎日必要な分だけ購入している。
これを一升買いと呼び資材購入の原則としてきた。
一斗樽でまとめて買えば安くなりますと言われても、今必要な一升だけを買うようにしてきた。
在庫管理、在庫金利などのコストを通算すると必要なだけ持っている方が経済的。腐るものを扱う場合は気がついていたら使えなくなる。ダブルチェックシステム。入出金の管理においてはお金を出し入れする人と入出金伝票を起こす人を必ず分けることが原則。銀行に預金をするにしても資材で買ったものの支払いをするにしても資材の支払いにしても労務費、経費の支払いをするにしても支払いをする者と伝票を起こすものは必ず別にしなければならない。
アメーバ経営。上司の承認は必要だが経営計画、実績管理、労務管理などの経営全般が任されている。
時間当たり採算制度。売上から経費を引いた差引売上という概念=付加価値。
売価還元原価法とは製造にかかったコストを積み上げて原価を求めるのではなく、その製品に当てはまる原価率をあらかじめ計算し、それをここの売値にかけて売価を原価に還元するという方式。
標準原価計算によりすでに支出された過去の原価を積み上げて仕掛品や製品の評価をするのではなく、売値に着目して売価還元原価法に基づき仕掛品や製品を評価することにした。
決算時の在庫評価を標準原価計算で行うと、経営の実態を表せないことがある。
在庫品の中に原価がすでに売価より高くなっているもの、売ったら損をするものが出てくる。
雑感
2019年6月に読んだ。難しかったのでほとんどわからず。
在庫のことがなぜかピンと来たのでメモしていた。
2022年8月に稲盛和夫氏が永眠(90歳)したのでこのメモを見返したのだが、売価還元法をこの間に知識として得ていた。
「経費は計画通り進んでいくが、売上が計画通りに増えないから予算制度を実施しなかった」
「まとめて買えば安くなりますと言われても、今必要な分だけを買うようにしてきた」
ホントその通り。
筋肉質の経営って安倍晋三が所信表明演説で使っていたけど、稲盛氏の真似だったか?