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新日本プロレスで社長をしていた草間政一さんの著書を2冊読みました。
「知りすぎた、私」
日本企業はピラミッド型の組織が当たり前だが、欧米は全員がフラットな関係。組織の形態や上下関係ではなく仕事をやりやすくすることで仕事の効率が上がる。
アパレル、商社、IT、ゴルフメーカー、出版など色々な分野を手がけてきたが、商品の違いでしかない。ビジネスとは最終的にいくら儲けるかということ。
会社は単純に言えば、キャッシュインの方がキャッシュアウトより多ければ倒産しないもの。キャッシュインに応じてキャッシュアウトの管理をすれば、健全な経営ができる。
いかにキャッシュアウトを抑えようともキャッシュインが減少していけば、いずれ資金繰りに行き詰まる。キャッシュインの少ない事業に頼ると減収の道をたどる。そのような事業の比率を低くすると相対的に全体の収入もアップする。
労使間で決裂があった場合、選手側は退職金を叩きつけてもっと良い条件の団体に移る権利を有している。
既得権を持っている人間は自分の都合のいい人材だけを欲しがるのかもしれないが、それを続けていたら会社は腐っていく。
収入の見込みを出す際には平均単価というのが非常に重要になる。
プロレスのチケットは他の娯楽に比べて高い。金回りの良くない世の中においてあえて高額な娯楽を選ぶ理由があるだろうか。
優秀な商品は重く扱い、不良在庫は切っていく。これがビジネスにおける平等。
はっきり言ってこのご時世では売上を急激に増やすということはほとんどありえない。経営者として考えるべきはまずは現状維持。多くても10~15%のアップだ。まずは身近なところを目指して、徐々に増やしていって、何年後かに現在の2倍になっていればいい。それが経営者の心得。
「A級戦犯―新日本プロレス崩壊の真実」
不良在庫、不良売掛金は中に入り込まないとわからない。
すべての経営に通じることだが、事業はたった1種類ではなく、複数持っていた方が経営は安定する。それらは相互に関連する場合が多い。1つの事業だけを伸ばすのは困難なケースが多く、複数の事業を平均的に引き上げる方が簡単。
コストがかからない事業は利益に直結する。この伸びが大きくなれば財務面で安定する。
コストのかかる事業は他の売上比率を高め、粗利益を出す必要がある。
顧客ニーズが分からないと手が打てない。性別、年齢層、職業、何を望んでいるかなどのニーズを把握しないとダメ。世の中のトレンドも知らないと経営はできない。
客の前でタバコを吸ったり、社員同士で世間話をしてたりしたお客様商売の基本がわからない社員には怒鳴りつけていた。
チケットの価格ひとつ決めるのだって正しい知識と理論的裏付けが必要。
雑感
草間政一さんはトリンプなどで財務を経験した後、いろいろな会社で経営をしていた。在職中、専門学校で簿記の勉強もしていたそうだ。
そんな彼が猪木に引き抜かれて新日本プロレスで経営をするようになったが、中身がひどかったそうだ。
猪木に関わる取り巻きもかなり面倒だったようだ。
「自分の都合のいい人材だけを採用していたら会社は腐っていく」とか「営業が力を持っていた」とか銀行には耳のイタイ話だと思うw
収益の中身は徐々に変質した。異業種やゆうちょ銀行と連携したローン商品の扱いを始めたが、実績は思うように伸びない。条件が柔軟な住宅ローンは他行も追随してきた。00年代後半には、ワンルームマンションへの投資ローンが実績を伸ばしていった。
1件あたり1億円前後、利率は3~4%台――。この10年は、収益への貢献度が大きい不動産投資ローンに傾斜し、数量を追い求めた。シェアハウスにとどまらず、一般のアパート融資でも、審査書類の改ざんや収益書類の偽造が取り沙汰されている。ある地銀幹部はスルガ銀行について「異端児だが、商品力は一目置かざるをえなかった。最近は単に営業部隊が強い銀行になっていた」という。
利益の高い事業に集中しても実態が伴っていなかったらダメだという例だよね。
売上を急激に上げるのは難しいから少しずつ上げていくというのは非常に同感。少し売上を上げてやろうと努力した結果、それが積もって大幅な売上増加になったのは自身で経験した。
これらの本を読んだ後、ブックオフに売りに行ったが、2冊とも値段がつかなかったw