「ある日突然40億円の借金を背負うーそれでも人生はなんとかなる。」を読みました。
株式会社湯佐和を経営する湯澤社長が書いた本です。
目次
印象に残ったこと
父の会社はメインバンクの地元信用金庫に約28億、メガバンクに約12億円の借金を抱えていた。1か月に払う元本と金利の合計は3163万円。1日当たり105万円を返さないといけなかった。
メガバンクの対応は冷徹かつ無慈悲。今になって同じ中小企業の経営者には信用金庫と金利が高くても取引を持っていた方がよいと話している。
- 父がかけていた生命保険にメガバンクが質権設定して、その全額を銀行への返済に充てた。
- 温情があった地元信金が返済期間を延ばして毎月の返済額を下げてくれたが、メインバンクはその下がった分の一部をこちらの返済に充てるように言ってきた。
- メガバンク支店の次長が「ここで手をついてお願いしますと支店長に頭を下げてもらえますか?」と言ってきた。その後、この厳しい仕打ちをしてきた支店長が一番出世していた。
「パート、アルバイトのために対処してください」と手紙で社員の不正会計の内部告発があったが、社員を怒ることができなかったために内部告発してくれたパートたちが呆れて退職してしまった。
生々しい人間関係からなる組織に対しては、キリンビール時代に身につけてきた常識やビジネススクールで学んだリーダーシップ論など一切役に立たなかった。キリンビールで常識的なビジネスパーソンを相手にしていた著者にとっては出会ったこともないような人たちだった。
キリンビール時代、当時の営業現場では何のためにやっているかわからない行動があまりに多かった。荷物の積み下ろしを手伝ったら取引先社長と仲良くなれたという個人の成功体験を他の全員に指示していた。重要なのは荷物の積み下ろしを手伝うことではなく、お客様に心を開いてもらい、信頼関係を作ること。それに気づいた著者は帰納法的にいろいろな事例から教訓を抽出して一般化することを考えるようになった。
一般的に経営において月商の3か月以上負債があると危ない。
会社を継いだ後、当面「資金繰り表」「先付け小切手」「念書」の3つを持ってひたすら方々へ謝罪していた。
資源の限られた中小企業は弱みや自分のないものに目を向けるのではなく、強みや自分がすでに持っているものに集中すべき。弱い者こそ自分の強みや長所を伸ばしていくことが重要。
個々の店舗の利益を最大化するために黒字であっても、効率が悪く利益額が少ない店舗は閉店した。
飲食業は人が利益を生むので、平均より落ちるレベルのスタッフで3店舗運営しているよりも、彼らのうち優秀な人材を1店舗に集めてチームワーク良く運営すると1店舗だけで3店舗の合計以上の利益を上げることができる。
利益を上げることができたのは飲食業界特有の収益構造のおかげ。飲食業は同じ看板、メニューであっても店長やスタッフの人によって業績が変動する。安易に規模を拡大すると育成が追い付かず、収益率が下がる。また、飲食業は家賃など固定費が高い業種のため、売上が悪いとすぐに苦しくなるが、売上が損益分岐点を超えると利益が急激にアップする。
借金を返すマシンになって「売上を上げろ、無駄な人件費を削れ、余計な原価はかけるな、利益を最大化しろ」と叫びながら走り続けることで歪みが生じ、火事、病気、安全面で事件が起きた。人件費を削るために従業員一人で何役もやらせていて、満足に掃除をする余裕もなくダクトは油まみれで火事が起きた。食中毒も従業員を休ませないで働かせたために起こった。
自殺を報じるニュースを見て「どうして飛び込むのか」などと言う人がいるが、自殺者は必ずしも自ら死を選んでいるわけではない。あまりに悩み、辛くなると身体か脳が意思を介在せずに勝手に動いてしまうのではないか。
眠れない夜に著者は鬼平犯科帳や剣客商売のような物語、朗読のCDをかけて寝るようにしていた。
著者は日記を欠かさずつけている。辛いことがあると厳しい状況を乗り越えてきた過去の日記を読み返すことで目の前の問題に立ち向かう勇気が得られる。
正気を保つために自分の心の状態を常に把握するようにしていた。言葉遣いもプラスの言葉を口にしていた。マイナスの言葉が出てしまってもその場で言い変えるくらいまじめにやった。
起こることは必然であり偶然ではない。どんな状況でも自分の考え方や行動を変えることで道は開ける。
キリンビール時代の著者は傲慢で自己中心的だった。「俺はできる、できない人はその人が悪い、すべては自己責任」と広言してはばからなかった。
雑感
著者の湯澤剛さんが父から継いだ会社は4で書いたようにひどすぎ。
板前がタバコを吸いながら接客したり、客と酒を飲んだり、客がいるのに2階で麻雀していたりと最低すぎるw
当然借金まみれになるに決まってます。
2.やはり銀行はひどいと思った。著者も書いていたが、半沢直樹のような世界がマジであるのかと驚いた。バブル時代も積極的に融資を経営者にすすめてきてそれに乗ったのに、バブルが崩壊すると違う担当者が来て説教だったらしい。
3.クソ社員のせいでパートやアルバイトが疲弊するのはまちがいないですね。こういうクソ社員を経営者や管理者が指導しないといけないが、社員の味方をするクソ企業が多い。
5.この一般化だが、showroom社長で石原さとみと付き合っている前田裕二もよく抽象化と言っている。
6.自分の収入でこれだけキャッシング(借金)するとやばいという自分が持っていた感覚に近かった。家計と企業は違うだろうけどこれから収入の3か月分以上キャッシングしないように気を付けようw
12.ノルマ主義や数字主義は確実に組織にゆがみが出る。これは法則レベル。
実際にスルガ銀行を筆頭に証明してくれている。
俺が経営者になったら数字は重視するが、安全配慮や掃除などにも目を配ろう。
また、世の中のクソ経営者と違って有給は自由に取りなさいと言うね。残業もするなと言う。
働き方改革とか抜かしているが、休日を増やせば必然的に日常の業務改善をするようになると思うんだが?
だらだら働いて当たり前のように月20万円近く給料もらってんじゃねえぞ!
13.自殺は突発的にやると思う。
悩んでいる人や精神的に病んでいる人は長期間、頭の中で堂々巡りが続いているので、ふとしたきっかけで自分を殺めてしまう可能性がある。
自分も2013年に自殺を決意したことがあるけど、どうしたら楽に死ねるか、自殺に失敗しないか、電車に飛び込んだら家族に迷惑がかかるなどいろいろ考えていた。
あの時、さらに嫌なことがあったら突発的にやってたのかな・・・。
14.自分は騒音でイライラするのでイヤホンで音楽を聞いて寝ます。最近はマーフィーの法則や与沢翼の音源を聞いて寝ています。
16,17.これは先日書いたファミリマート元会長も言っていた。
「元気の炎が少しでも残っているときはちょっとだけでもいいので発想を変えて別の行動を起こしてみると、元気の炎がまた燃えてくるかもしれない。」
「落ち込んでいる状態から抜け出すのが大変な時は「元気、勇気、夢」と念仏のごとく唱える。」
この二人の話を一般化すると、「ダメな時は行動を変える、メンタルが不調の時はあえてプラスの言葉を発する」かな。
18.よく自己責任と抜かす奴らがいるけど、そういう奴らはまちがいなく苦労してない。日本人は自分より下の人間をつくることで自分の尊厳を保っているきらいがある。日本人ってもうみんなが中流じゃないでしょ。
湯澤さんは借金40億円でしたが、マネーの虎に出ていた南原社長は借金100億円を抱えていました。今はもう復活してますね。
与沢翼曰く、一回稼いだ人は何度でも稼げるそうです。