【書評】法律を読む技術・学ぶ技術
元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術[改訂第3版]
- 作者:吉田 利宏
- 発売日: 2016/05/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
法律を読む技術・学ぶ技術を読みました。
印象に残ったこと
項番号は算数字。号番号は漢数字。
法律は本則と附則に分かれ、本則は総則、メインの規定、雑則(補則)、罰則の順で並んでいる。附則にはその法律がいつから効力を持つか(施行期日)の規定、この法律が定められることで必要になる他の法律の改正、この法律が定められることで必要となる経過措置(例:本当は許可が必要だが、特別に・・・)も盛られている。
副詞や連体詞は漢字で書く(少なくとも、我が国)。接続詞は及び、並びに、又は、若しくはを除いてひらがなで書く。
施行日前と言ったら施行日は含まれない。以前はその日も含まれる。
最大判=最高裁大法廷判決。最判=最高裁小法廷判決。最決=最高裁判所決定。①初めて法令が憲法に適合するか判断される場合、②違憲判決をする場合、③憲法や法令についての解釈を以前と変更するときなどには大法廷が担当。
最高裁の意見=法廷意見。法廷意見と異なる意見が少数意見。少数意見は反対意見、補足意見(法廷意見に賛成した上で説明を加えるもの)、意見(法廷意見の結論には賛成だが、理由付けが異なる)の3種類がある。
法律の1条は多くの場合、目的規定が置かれる。目的規定は手段、目的、究極の目的(ない場合もある)で構成されている。
()がついている条文は()を飛ばして読む。()がついていても以下~という定義が書かれてる部分は注目する。()が重なっている条文は()の前後に番号をつける。まず1番目の()を飛ばして読んで、次に2番めの()を飛ばして読む。
「かつ」とは書かれていないが、「~であって」は「かつ」の意味がある。
憲法
- 法律などによる具体的な規制が憲法に違反するかどうかをチェックするための基準が比較衡量論と二重の基準の理論。
民法
- 貸したお金の利息までその質や抵当に取ったものを売ったお金から優先的に回収できる。抵当権では利息の一部だけ(最後の2年分)で、質権は原則としてすべての利息が回収できる。これは質に取っている人が使うわけにもいかず、管理費がかかるから。 不動産質ではその質物を使うことが認められている。使っている利益があるから不動産の質権者は利息を請求できない。動産の質は利息まで担保される。
刑法
罰すべき行為だけを犯罪として選び出すために構成要件該当性、違法性、責任という3つのフィルターがある。
構成要件該当性を判断する3つの要素は実行行為、結果、因果関係。
結果がなくても犯罪となる行為の例として偽証罪がある。こうした犯罪を挙動犯という。
実行行為があった、結果が発生した。それでも犯罪は成立しない。実行行為と結果との間に因果関係がないといけない。
違法性とは何かという議論で結果無価値(結果がいけない)と行為無価値(行為がいけない)がある。
原因において自由な行為。
行政法
国税に関する処分などは例外的に先に審査請求をした後でないと取消訴訟を起こすことはできない。審査請求と取消訴訟は自由選択主義。審査請求を先に提起、取消訴訟を先にする、同時にするの3種類を選択できる。
平成26年の改正で行政手続法に処分等の求めという手続きが加わった。法令違反の事実がある時にその是正のための処分や行政指導を求めることができる。この処分の求めは何人もできる。
雑感
判例の見方が変わった。
どの要件を補っているのかという視点で見るのか。
不服申立てが変わってた。審査請求1本化で審理員や行政不服審査会が導入されていた。
岡口基一判事によるとリーガルマインドとは「法的価値判断を踏まえた具体的妥当性判断能力」らしい。
- 作者:柴田 孝之
- 発売日: 2010/03/11
- メディア: 単行本
柴田孝之によるとリーガルマインドとは「筋道が通っていること」、「公平さを備えていること(敗者や第三者への配慮が必要)」、「正義にかなった妥当な結論が導かれること」を備えた物事の考え方と書かれている。