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刑事と民事

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刑事と民事―こっそり知りたい裁判・法律の超基礎知識 (幻冬舎新書)

刑事と民事―こっそり知りたい裁判・法律の超基礎知識 (幻冬舎新書)

印象に残ったこと

  • 犯罪捜査を担当する私服警官の法律上の職名は「巡査」「巡査部長」。古畑も湾岸署の青島も巡査。刑事係巡査を略して刑事と呼ぶようになった。

  • 警察は逮捕から48時間以内に被疑者(マスコミ用語では容疑者)を検察に送ることになっている。被疑者本人を検察に送ることを「身柄送検」、本人は在宅のまま捜査資料などの書類だけを送ることを「書類送検」という。書類送検は被疑者が逃亡や証拠隠滅の恐れがないと判断している。

  • 被疑者に責任能力がない、公判を維持出来るだけの証拠が揃ってない、罪状が軽微などの理由で不起訴処分や起訴猶予処分になることもある。起訴されると被疑者は被告人に変わる。

  • 民事の場合は本人訴訟が認められているが、刑事裁判は法定刑が懲役3年以上の刑に該当するものなら必ず被告人に弁護人がつく。

  • 債権を発生させる原因の1つが「不法行為」被害者と加害者の間に契約関係はないのに被害者が債権者として加害者に損賠倍賞を請求できるのは、それが不法行為によって生じたから。

  • 民法では故意もしくは過失による加害行為があり、違法に他人の権利が侵害されて損害が発生した場合、その損害と加害行為の間に因果関係があって、さらに加害者に責任能力があれば、被害者から加害者に対する損害賠償請求権が生じるとしている。

  • 本人に罪を犯す意思があっても不能犯は犯罪にならない。例として「藁人形に五寸釘」

  • 民事訴訟の場合、原告が主張した事実関係に被告が反論しなければ、その事実があったことは法廷では認められる。

  • 時効期間が過ぎてから支払いや損賠を求める民事訴訟が起こされても裁判所は時効だからと訴えを却下するわけではない。とりあえず裁判は開かれる。そこで被告が債務が消滅していることを知らずに「支払うから待ってくれ」などと主張してしまうとお金を払うことになりかねない。(権利の上に眠るものは救われず)

  • 告訴状と違って被害届には捜査義務がない。

  • 強制わいせつ罪、強姦罪、未成年者略取・誘拐罪、名誉毀損罪、著作権違反、過失傷害罪、器物破損罪などが親告罪の代表。窃盗罪、詐欺罪、横領罪などは親族間の事件に限っては刑が免除されるか親告罪

  • 加害者に損賠を請求する場合、不法行為による損賠請求権は3年で時効になる。刑事裁判の判決が確定してから3年ではなく「損害および加害者を知った時」から3年。

  • 有罪判決が確定しないかぎり、建前上は無罪と推定して扱わなければならない。マスコミは判決が確定してない被告人を完全に犯人扱いしているが、これは法曹関係者から批判されることがしばしば。しかし、推定無罪の原則は刑事手続上の原則で民事裁判では適用されない。

  • 刑事裁判では「疑わしきは罰せず」という原則があり、1%でも合理的な疑いがあれば、被告人の利益とすることになっている。一方、民事裁判では事実認定をする上で100%の証明は求められない。民事の方が有罪を認定するためのハードルが低いから「刑事で有罪、民事で無罪」というねじれ判決はありえない。

  • スピード違反の場合、一般道では時速30キロ未満、高速道路では時速40キロ未満の速度違反なら反則金だが、それ以上だと罰金刑を科せられる。 官が官を訴える裁判もある。法律を正しく運用すべき役所が役所を訴えるのだからみっともない話だし、そんな裁判で税金を使われたのではたまったものではない。

  • 日本では国家賠償請求訴訟に関しては行政事件訴訟法を適用しないで、基本的に民事訴訟と同様に扱うのが慣例。

  • 公務員が職務を行うにあたって他人に損害を与えた場合、国又は地方公共団体が賠償責任を負う。国や地方公共団体はその公務員に求償権を行使することができるが、その公務員に故意又は重大な過失がある場合のみ。これは国家賠償請求訴訟に限った話で刑法には公務員の犯罪を定めた条文もあるので、それに違反した場合は公務員個人を刑事裁判にかけることができる。一般国民が被害者として刑事告訴できるのは、公務員職権濫用罪、特別公務員*1職権濫用罪、特別公務員暴行陵虐罪、特別公務員職権濫用等致死傷罪。

  • 残業代にかぎらず、未払いの賃金を請求する権利(退職手当は除く)は2年で時効を迎える。残業手当について定めた労働基準法37条に違反した場合は6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金。

  • 過重労働と病気の間に因果関係が認められれば、会社が法的責任を問われるが、適用されるのは労基法ではなく民法や労働契約法。会社と従業員の間には雇用契約という契約関係が成立している。雇用契約上、会社は安全配慮義務があるので過労死するほどの過重労働を強いたとすればその義務を果たしているとはいえず、契約によって生じた債務を果たしていないので民法上の債務不履行に当たる。

  • 過労死の場合、激務から開放された数カ月後に死亡するケースが少なくない。

  • 労災は簡単には認められない。民事で会社と争うにしろ行政裁判で国と争うにしろ、本人の書いた遺書や日記あるいは手紙やメールなどが証拠として重視されることもある。

  • 解雇絡みの案件はクビになる社員に同情できるようなケースばかりではない。使えないといっていきなりクビを申し渡せば不当解雇として法的責任を問われる可能性が高い。最後通告する前にそれなりの段階を踏むことが必要。まずは配置転換をして様子を見て、態度が改まらないようならば戒告処分、減給、出勤停止など徐々に重い懲戒処分を科していく。

  • 金融商品取引法では上場会社の代表取締役またはその受任者が2つ以上の報道機関に重要事実を公開してから12時間が経過する前に、内部者がその会社の株を売買することを禁じている。

  • 多くの会社に実質的な談合担当者がいる。談合に適用される法律は2つ。刑法の談合罪(警察、検察)と独禁法の不当な取引制限の罪(公正取引委員会の告発がなければ検察は起訴できない)。公取委が調査を開始する前に自首すれば、一番目に申告した企業は課徴金を全額免除、二番目に申告した企業は50%減額、三番目の企業は30%減額。調査開始以降に申告した場合は順番に関係なく(3つの事業者まで)一律30%の減額。課徴金が減免されても排除措置命令や指名停止処分といった行政処分は自首した企業にも下される。

  • 交通違反の点数が1~3点なら青切符、6点以上ならば赤切符。(4,5点に相当する違反はないので必ずどちらかに該当する) 青切符行政処分)で済むのは超過速度時速30キロ未満(高速道路では時速40キロ未満)のスピード違反、信号無視、一時不停止、駐車違反、安全運転義務違反(前方不注意や脇見運転など)、座席ベルト装着義務違反など。 一方,酒酔い運転、共同危険行為等禁止違反(いわゆる暴走行為)、無免許運転酒気帯び運転、時速30キロ以上(高速では時速40キロ以上)の速度超過などはいずれも6点以上の赤キップ。 さらにこれらの交通違反を犯して人身事故を起こした場合は、違反による点数に「交通事故付加点数」が加算される。最も軽いのは全治15日未満の軽傷事故で、加害者の責任が軽ければ2点、重ければ3点。最も重いのは死亡事故で責任が軽ければ3点、重ければ20点。

  • 暴行傷害の違いは怪我をさせたかどうか。連行しようとして洋服を引っ張ったり、追い払うために水をかけたりするのも暴行判例ではお清めと称して塩をかける行為が暴行罪と認定されたこともある。暴行には未遂罪がない。

  • 痴漢行為は刑法上「強制わいせつ罪」。「13歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者」「13歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者」。「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせてわいせつな行為をした者」が準強制わいせつ罪。程度の軽い痴漢に対しては各都道府県が定めている「迷惑防止条例」が適用される。一般的に下着の外側なら迷惑防止条例、内側なら強制わいせつ。被害者からの損賠は迷惑防止条例違反の場合は5~20万円ぐらいで片付くことが多い。強制わいせつになると100万円を超えることもある。

  • のぞきは軽犯罪法に定められた「窃視の罪」、露出狂は刑法の「公然わいせつ罪」

  • 姦淫=性交で男性器が女性器に一部でも挿入されれば、射精に至らなくても未遂ではなく既遂になる。強姦罪は「女子を姦淫した者」と書かれているので、犯された男性が相手を強姦罪に問うことはできない。

  • 刑法の器物損壊罪は故意犯でなければ成立しないので過失で器物を損壊しても刑事責任を問われることはない。

  • 明治憲法下の日本では、結婚している女性と夫以外の男性の姦通(不倫)が犯罪とされていた。韓国には現在も姦通罪がある。

  • 夫が不倫した場合、その配偶者は夫の貞操義務違反について不法行為に基づく損害賠償ができる。貞操義務という以上、プラトニックな恋愛関係があるだけではそれに違反したことにはならない。あくまで肉体関係があるのが前提。 貞操義務違反で損賠を請求する場合、訴える相手は当事者のどちらでも良い。配偶者を訴えることもあれば、不倫相手だけを訴えることもあるし、両方訴えることも可能。 不倫相手を訴えて賠償金を勝ち取ったとしても、結局は家計からの持ち出しになることがある。賠償金を払わされた不倫相手には一緒に貞操義務違反をしていたパートナーに対する求償権があるから。自分の妻が不倫相手を訴え、不倫相手が自分を訴えることもある。 事実婚であっても一方的な関係解消には民事責任が生じる。内縁関係は正式な婚姻に準じるものとみなされ、同居義務や扶助義務など一定の法的保護が与えられており、不当に内縁破棄された場合も慰謝料や財産分与を請求する権利が認められている。貞操義務もあるのでパートナーが不倫したら損賠を請求できる。

  • ストーカー規制法では「つきまとい等」を規制の対象としていて、それを2度以上繰り返すと「ストーカー行為」になる。

  • セクハラは「対価型」(例:出世したければ言うことを聞け)と「環境型」(例:ヌード写真の載った雑誌を広げたり、女性社員の体をじろじろ眺めたり、「昨夜は彼氏とお楽しみだったんだろ?」と恋愛やセックスに関する質問したりする)がある。

  • パワハラをやるような人間が管理職まで出世できる会社というのは、そういう行為に目くじらを立てない企業文化を持っていることが多い。

  • 万引きは立派な窃盗罪。(10年以下の懲役又は50万円以下の罰金)その場で盗んだものを返しても、いったん不法に占有した時点で窃盗罪が成立している。

  • 強盗は簡単にいえば暴力や脅迫を伴う窃盗。窃盗の後に逃げるために暴力を振るった場合も強盗罪が成立する。

  • 現行犯の場合、逮捕は警察官ではない私人でもできるので、店員や警備員が犯人を捕まえること自体は問題ないが、刑事訴訟法では「私人が現行犯人を逮捕した時はただちに捜査機関に引き渡さなければならない」と定められている。犯人の同意があれば、身体検査をしたり住所・氏名を書かせたりするのも構わないが、無理にやらせれば強要罪や脅迫罪に問われかねない。拘留した部屋に鍵をかければ監禁罪になることもある。犯罪者にも人権があるので手荒なことはしないほうがいい。

  • 売春防止法は売春婦やその客を処罰する法律ではない。「対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交すること」を禁止してはいるが、それ自体が犯罪として刑事処分の対象となるわけではない。

  • 売春婦に料金を支払ったのに、相手の女性がセックスを拒否して逃げたとしても、そもそもが「不法の原因のために給付」したお金なので返せとは言えない。「売春は処罰されない」とさきほどは述べたが、法律で禁止されてるのだから不法行為であることに違いはない。

  • 実際にお金を払って児童と性行為をしていなくても、それを企んだだけでも刑事罰を受けることがある。(出会い系サイトで援助交際などの相手を募集した場合)

  • 13歳未満の女子を姦淫すればそれだけで強姦罪が成立。13歳以上なら暴行や脅迫がなければ刑法には触れないが相手が18歳未満だと各都道府県の青少年保護育成条例の中にある淫行条例に触れる。

  • アメリカの総人口は日本の2倍程度なのに、弁護士は30~40倍ぐらい存在している。これが訴訟社会と呼ばれるのと無縁ではない。

  • 着手金の目安は請求額が300万円以下ならその8%、300万円超~3000万円以下なら5%、3000万円超なら3%、3億円超なら2%。

雑感

著者は弁護士ドットコムの代表。サッカーをやっていたスポーツマンで湘南ボーイらしい。

こういう法律があって、実際にどう扱われてるか紹介されているのでわかりやすい。

自分は法律の勉強をさらにしようと思っている。現在は地方上級公務員試験に合格するレベル。(浜松市、静岡県、名古屋市(法律)の筆記試験に合格してる。)

弁護士になろうとは思わないが(弁護士活動するのに日弁連と地方弁護士会に安くない会費を払わないといけないのが意味不明)、権力(行政や警察など)と金に物を言わせてくるような成金野郎に対抗するために訴訟を起こしたり、反訴したりする力が欲しいので司法試験に合格したいと考えている。

教科書的な知識はもちろんこの本に書かれてるように実際にどう法律が使われてるのかを勉強していきたい。

姦通罪は復活させてもいいと個人的には思う。

なんでも男女の関係で済ませばいいと思ったら大間違い。

望まない妊娠や身勝手な親のせいで子供を不幸にさせてはいけない。

*1:裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者